漫画を描こう「下書き編その2」

前回は原稿用紙のガイド線について説明しましたが、今回はもう一つ重要な事を説明しておきます。

◆ノンブル◆

ノンブルとはページ数の事です。
以前も説明しましたが、ここでのページ数というのは本にした際の全体のページ数を指します。
表紙が1ページ、表紙の裏側が2ページで本文は3ページからという事になります。

そしてこれが重要ポイント。
原稿には必ずこのノンブル(ページ数)を書かなければいけません。

漫画を描いている本人にはページ数を振らなくても見ただけで分かりますが、印刷や製本をするのは自分ではありません。
3ページ目からいきなり漫画が始まるパターンや最初に前書きや目次、挿絵が入ったり本文の構成は多種多様です。
その本の構成を印刷屋さんに伝えるためのノンブルなのです。

ノンブルの位置は仕上がり線の内側、印刷に出る位置に入れます。
画像のノンブルは分かりやすいよう大きめに入れていますが、小さすぎて読みづらいと乱丁の原因になりかねないので気をつけましょう。

しかしページによってはノンブルを入れる位置に絵があったりして書けない場合あるので、そういう時は隠しノンブルを入れます。
隠しノンブルの位置は【のど側の仕上がり線の内側】に書きます。

これはアナログ原稿もデータ原稿も同じです。
必ず忘れないようにしましょう。

印刷所によってはノンブルの指定が微妙に異なる場合があるので、必ず事前に確認しておきましょう。

ちなみに大友出版印刷ではこのようになっています。
http://www.ohtomops.jp/make/DATA_top.html
※ページの下の方にノンブルについての説明があります。

とりあえず下書きの段階でガイド線の意味とノンブルはきちっと把握しておきましょう。
これらを無視して適当に描いてしまうと製本時に泣きを見る事になりかねないので…
(実際にノンブルを入れてなくて印刷所に注意を受けたことも…)

マジで気をつけましょう(笑)
いや、笑い事ではないんですけどね。

漫画を描こう「下書き編その1」

今回から本格的な作業に入ります。
といってもまだ下書きですので、気楽にいきましょう。

ネームができたら原稿用紙に下書きを描いていきましょう。

と、その前に原稿用紙に書いてく上での注意について説明します。

原稿用紙を見てみると何かいろんなガイド線が引いてあると思います。
もちろん描いてあるからにはちゃんと意味はあります。

上の画像は実際に書いた下書きになります。
分かりやすく主なガイド線を色分けしました。

1.内枠(緑のライン)
一番内側のラインですが、これが基本となります。
コマの枠線などは基本的にこれに沿って書いていきます。

もちろん大ゴマや変則コマの場合はガイド線をぶち抜くように書いていきますが、キャラクターやセリフなどの大事な要因は必ずこの内枠に収まるように書きましょう。

2.仕上がり線(青のライン)
この線より内側にあるものが本にした際に紙に印刷されます。

3.断ち切り線(赤のライン)
仕上がり線よりもちょっと外側にある線ですが、印刷された後は仕上がり線で裁断されます。
断ち切り線とはこの裁断時に生じるズレを考慮して引いてある線になります。

印刷されるのは仕上がり線の内側の部分になりますが、大ゴマなどで仕上がり線きっちりに絵を描いてしまうと印刷の際に空白ができたりしてしまいますので、必ず断ち切り線を越えて描くようにしましょう。
ベタ塗りや背景を描く際は特に気をつけましょう。

4.のど
「のど」とは本を綴じている部分の事です。

あまりいい参考例ではないですが、上の画像を漫画本を開いた状態だと思ってください。
真ん中の赤色の部分が「のど」です。

ここの部分に見せたい部分やセリフなどを書き込むと製本の際に
糊付けされてしまい見にくくなったり最悪見れなくなってしまいますのでこの部分はなるべく書き込まないようにしましょう。

大ゴマなどでのどの仕上がり線まで書く場合はキャラやセリフなどの見せたい部分は必ず内枠の中に描くようにしましょう。

…とまぁ、ざっとこんなところでしょうか。
以上の内容に気をつけて実際に原稿用紙に下書きをしていきましょう。

漫画を描こう「準備編その2」

週一更新を目指しておりましたが、作業の都合上一週更新が空いてしまいました。どうもスミマセン…
これからもたまに更新日が飛んでしまったりするかもしれませんが、なるべく週一を目標に更新していきたいと思いますので、生暖かい目で見守ってください><

さて前回に引き続き準備編となりますが、今回はこれからの作業工程についてもうちょっと詳しく説明します。

私の場合は作業はほぼアナログ(紙の原稿にペンでカリカリ描いていく事)になります。
ネーム・下書き・清書までがアナログ作業になり、清書が完成した後はスキャナを使ってパソコンに取り込んで色塗り(トーン作業)・修正・文字入れを経て原稿完成となります。

今回使用する道具

・マンガ用原稿用紙(B5用)
・付けペン
・ペン用インク

もし私と同じ環境で製作してみようと思う方がいましたら、とりあえずこれだけ揃えましょう。

原稿用紙はサイズさえ間違えなければ何でもいいです。
ペンはGペンなどのいわゆる「付けぺン」です。
Gペン、カブラペン、丸ペンなど種類はいろいろありますが、私は基本的に丸ペンを多用します。
これと言った理由はなく、単に好きだからですw
しかしペンを変えると描ける線も変わるので、触った事のない人は一度色々使ってみて自分好みのペンを見つけてみましょう。

しかし付けペンというのはちょっと慣れが必要なので、最初はうまく描けないかもしれません。
慣れない場合はコピックマルチライナー等のミリペンを使うものいいと思います。
いろんな太さのペンがあるので、2〜3種類もあればいいのではないでしょうか。
付けペンは付けペンで練習しておけばそのうち使えるようになります。

付けペンで描かなければいけないというルールはありませんが、均一な線しか引けないミリペンと違い線の強弱をつけたりできるのが付けペンの特徴であり、最大のメリットでもあります。
一見たいした事ないような違いですが、実際に書き上げた絵を見てみるとその重要性がわかると思います。
こればっかりは一度自分で描い比べてみて違いを感じるしかないと思います。
でもその気になればミリペンでもある程度強弱をコントロールはできますが、私にはちょっと合いませんでした…w


次にインクですが、基本的にマンガ用インクならどれを使ってもいいと思います。
インクもメーカーや種類によって乾き具合やインクの「ノリ」が違いますので、これも実際に使ってみないとわからないです。
私も数種類試してみましたが、最終的にPILOTの製図用インクに落ち着きました。
ペンやインクはマンガを描く上で欠かせない存在になりますので、自分に合った道具を探してみましょう!作業の効率も上がるかも…!?


さてさて、道具の説明が終わったところで次回は下書きについて説明していきましょう。

漫画を描こう「準備編その1」

ネームが出来たら次は下書きですね。

と、その前に・・・
私はイラストはパソコンを使って描いていますが、漫画の場合は大半がアナログ作業になります。
なので、これからはアナログで作業する工程を紹介していく事になります。
修正等はパソコンを使ってやっていくので、その時はまた別に紹介していこうと思います。

アナログ、デジタルのメリットとデメリットはそれぞれあると思うのですが、割と人それぞれだと思います。

私が思うそれぞれのメリット、デメリットは以下のような感じです。

アナログのメリット
・パソコンなどの設備費用がかからない。
・極端な話、紙とペンさえあれば描ける。誰でも描ける。
・どこでも作業ができる
アナログのデメリット
・やりなおしが効かない(だいたいの修正は可能ですが)
・インクを扱うので手や机などが汚れる

デジタルのメリット
・やり直し、修正が簡単。
・作業工程の簡略化ができ、効率よく作業ができる。
・汚れない。
デジタルのデメリット
・作業環境を整えるのにお金が掛かる
・パソコンでしか作業ができない。

今や同人誌はデジタルが主流なんだと思いますが、もしこれから初めて同人誌を作ろうとなった場合、まずはアナログでの作成をおすすめします。
というのも、デジタルのデメリットにも書いてますが作業環境を整えるのにお金がかかります。
パソコンだけならどこの家庭にもあると思いますが、
パソコンで絵を描くための「タブレット」「ソフト」や
下書きや原稿などと取り込む「スキャナもしくは複合機」など
安くそろえても2〜3万はかかるかと思います。アナログなら紙やペン、インクを買っても2000円ほどで済みます。

はりきって道具を揃えるたのはいいけど、機器やソフトを使いこなせなくて諦めてしまうというケースも少なくはないです。
まずは同人誌作りが、漫画を描くというのがどんなものかを理解しておいた方がいいと思います。

なのでまずはアナログで描いてみてから考えてみてもいいのではないでしょうか。

このあたりの考え方は人によって違い、あくまでも持論です。
同人誌は自分の楽しいようにやりたいようにやるのが一番です!

漫画を描こう「ネーム編」

描く内容やページ数、締め切りを決めたので次はいよいよ本文に取り掛かります。

これからは同人誌を作るというよりは漫画を描くという趣旨に変わってしまいますが、所々で製本に必要な作業も入ってくるので一つずつ紹介したいと思います。

それでは漫画を描くという事で、まずは「ネーム」を描く事からはじめます。

ネームという単語を聞いた事はあると思いますが、簡単に言えば漫画の設計図です。
イラストで言えば「ラフ絵」にあたります。
ちなみに私のネームはこんな感じになっております。

描いてある情報は最低限必要なものになっていますので、かなり雑ですし自分以外の人にはおそらく伝わらないと思います。あはは。

ここで注意しないといけないのが、「ネーム」と「下書き」は別モノという事です。

ネームという作業で漫画のある程度の進行や内容を決め、コマ割りや人物の配置、セリフ等を組み立てていきます。
大雑把に言えば下書きと同義かもしれませんが、ここで言う下書きはペン入れを前提としたリハーサルなので、意味合いとしてはかなり異なります。

頭の中ではストーリーも決まりこういう流れで最後はこういうオチにしようと考えていても実際に紙に描いてみるとこれがなかなか思い通りにいかないものです。
予定ページ数に達しなかったり逆に足りないなんて事もありえます。
もしこの作業を本番同然の下書きレベルで絵を描いていた場合、描いては消し描いては消しを繰り替えすと時間がかかり効率が悪くなります。

まずは私の描いたようなラクガキレベルでもいいのでざっと流れを把握しておけば、あとはそれになぞって下書きをすればいいのです。
もちろんネームはあくまで仮組みなので、下書きをしながらそこは微調整をしていけばOKなのです。

ただ同人誌は自分で好きなように作るものですから、もちろんネームを描かずに下書きから始めてもかまいません。
あくまでこのプログは私の作業工程を紹介するものになりますので、自分なりのやり方を模索してみましょう。

しかしネームを描くのと描かないのとでは断然作業の進行具合も変わってくると思いますので、まずはこの作業に慣れてみることをオススメします。

同人誌作りの準備その1

それでは前回の予告通り今回から同人誌作りの準備を開始します。
いきなり長文になりますが、大事な事なのでしっかり確認しましょう!

まず実際の作業に入る前に以下の内容を決めておきます。
・本の内容
・ページ数
・締め切り

◇本の内容
もちろんこれを決めないと何も始まりません。
漫画を描くのかイラスト集にするのか。
自分のオリジナルを書くも良し、または好きなゲーム・アニメのパロディを書くも良し。
今回私は大友出版印刷様のリソグラフ価格表に描かせていただいたオリジナルキャラクターを使用したいと思います。
これですこれ↓

◇ページ数
ここで言うページ数というのは本文の事ではなく表紙なども含めた「全て」の事です。

印刷所に印刷を依頼する時は「印刷部数」と「ページ数」で印刷価格が決まります。
数ページ増えるだけで印刷料金も増加しますので、お財布と相談しながらしっかり計画を立てておきましょう。

あと、約束事として必ずページは【偶数】でまとめる事!
間違っても総ページ数が19や27などの奇数にならないようにしましょう。
もちろん理由はあるのでしょうが、何故かと問われると知識が無いので私には答える事ができません…^^;
ただ理由を知る必要も特に無いかと思うので、決まり事として覚えておいてください。

◇締め切り
同人誌を作るからには同人誌即売会に参加するのが目的だと思います。
即売会にサークル参加するにはそれまでに印刷所に原稿を入稿し、
印刷をしてもらわないといけません。

イベントによって締め切りは変わりますので、参加するイベントを決めたら印刷所で締め切りをしっかり確認!
イベントに参加するだけでもお金がかかりますので、印刷が間に合わず参加できない…なんて悲しい事がないようにしましょう。

また、設定されてある締め切りよりも早く原稿を入稿したら「早割」といった特典もあります。
印刷所によって変わりますが印刷価格が安くなったりオマケがあったりと良いことだらけです!
こういうのはガンガン利用しましょう!

余裕を持って作業をすると後々急な訂正や変更箇所があっても迅速に対応できたりします。
締め切りギリギリまで作業が終わらない「修羅場モード」になると
訂正や修正をする余裕がなく泣きを見る事がありますので気をつけましょう。

ちなみに私はイベント参加をするというワケではなくこのブログの進行に合わせて描いていきますので、特に締め切りはありません(笑)

さて、ある程度製作内容が決まりましたので、次回はいよいよ漫画の製作に入ります。

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大友出版補足

「ページ数を偶数で」というのは、例えば奇数で終わると最終ページが白紙になりますよね。
ここに印刷が入っていても白紙でも料金は変わりません。これは本当にもったいない!!
編集の都合で意図的に白紙を入れるのは仕方ないですが、そうでなければ有効活用してください。
もっと細かく言えば、価格表に載っているページ数は一番無駄のない数字になっていますので、できるだけこれに合わせましょう。
B5判は本文4ページ単位。それ以下の本は8ページ単位です。もちろん変則ページでも印刷はできますが。

ごあいさつ

皆様はじめまして。
このブログを担当させていただく事になりましたねこやと申します。

当ブログは「同人誌を作ろう!」というタイトルどおり
誰でも簡単に同人誌が作れるようサポートしちゃおう!
というものです。

自分で本一冊を作るのは簡単ではありませんが、
かと言って難しいという訳でもありません。
中身を作るのは自分ですが、印刷・製本をするのは
印刷所のお仕事です。

同人誌には自分で印刷・製本をする所謂「コピー本」がありますが
ここでは印刷所で製本を行う「オフセット本」を取り上げていきます。

同人誌…と言うより本の製作過程にはある程度決まったルールがあり、
それを守らないと印刷所でもきちんと製本が出来ず結果的に
思っていたものとは違うものが出来てしまいます。

もちろんプロに頼むのですからタダではないし、
金額も決して安くはありません。
作るからにはいいものを作りたいですよね。

なのでそんな同人誌作りのルールを紹介、実践していきながら
一冊作っちゃおうというのがブログの趣旨であり目的でもあります。

同人誌を作りたいけど何をしたらいいか分からない方や
今まさに初めて同人誌製作をやろうとしている、またはやっている方の
参考に少しでもなればいいなぁと思います。

まずはゆっくり、じっくり本を作ってみませんか?

それでは次回からさっそく本作りの準備に取り掛かりたいと思います。

このブログの進行に合わせて私も一冊の本を作りますので
一緒に完成を目指して頑張りましょう!